MEMBER
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Y.Y
2005年入社
プロジェクトマネージャー
SD21 -
K.M
2014年入社
サブリーダー
SD21 -
K.A
2017年入社
AWS設計&Webアプリ開発担当
SD21 -
Y.M
2021年入社
Webアプリ開発担当
SD21
背景
最新技術を融合させ、
いかに高品質なサービスに
昇華させるか?
鍵・錠前の最大手メーカーでは、長年培ってきた高品質なハードウェア技術に最新のソフトウェアを融合させ、「鍵」の概念を大きく広げるサービスを提供している。非接触IDキーを使用して、電気錠や自動ドアを解錠する共用エントランス管理システムもその一つだ。これはマンションのエントランスなどで利用されるシステムであり、入居者はわざわざ鍵を使うことなく、ハンズフリーやキーをかざすだけで通行できる。そればかりでなく、入居者の動線に合わせて宅配ボックスを解錠したり、エレベーターを誘導させることも可能だ。
このシステムでは、建物内の各所に設置される複数のコントローラーをLAN接続し、さらにインターネットを介してクラウドサーバーに接続。コントローラーとクラウドサーバーを同期させることで、ソフトウェアのアップデートなどを自動化している。また、独自のWebアプリケーションを開発。管理者は手元のPCで機器の状態を常時確認でき、障害発生時にもスピーディーに対応できる。サーバーに蓄積したデータをシステムの改善や次のサービス開発に活かすことも可能で、メーカーにとってもさまざまなメリットをもたらすシステムとなっている。
この共用エントランス管理システムは、IoT、クラウド、Webという3つの先進技術を融合することによって実現されている。その最先端のシステム開発を担っているのが、NIDのプロジェクトチームなのだ。
ポイント
先進であるがゆえに、
乗り越えるべき壁も高かった
プロジェクトが本格的に立ち上がったのは2021年4月のこと。※チームは、Webアプリケーションのフロントエンド領域が1チームとバックエンド領域の2チームで構成され、クラウドインフラは兼任で担当していた。翌2022年春にはリリース予定というタイトなスケジュールである。
ところが、システムが先進であるがゆえに顧客サイドにも蓄積が少なく、開発要件の取りまとめや技術の見極めをNID側がリードする必要があったため、開発が難航していた。
そこで、伸び盛りの若手エンジニアがアサインされるなど、早急に体制の増強が図られた。最盛期には十数名のメンバーが集結し、体制が整うとともにフレームワークも統一され開発は前進し始めた。さらに、問題が発生した際には上長や同じ部内の有識者が適宜アドバイザーとして関わりながら、部署一丸となってプロジェクトを推進した。
そうはいっても、Webとクラウド、さらにはIoTまでも融合させたシステムである。コントローラーとの通信の設定、利便性を高めるための性能の検討……。解決しなければならない課題は次々と現れた。プロジェクトがひと段落したのは翌2022年1月、テスト工程を迎えたステップだった。そして同年3月、計画どおりシステム開発が完了。ずっと走り続けてきたメンバーたちは、ほっと肩の力を抜くとともに、じわじわと湧き上がってくる達成感を味わった。
フロントエンド(ブラウザ上で動作をする画面側の処理)
バックエンド1(フロントエンドからのリクエストデータを処理するWebサーバ側の処理)
バックエンド2(IoT機器と通信をする処理)

結果
NIDの開発力を、次世代へと
バージョンアップさせる
こうして開発されたシステムは、その後いくつかのステップがあり、現在、都心の高層マンションに実装されている最中だ。最初のリリース後、何度かの改善が行われた。主なものとしては、マンション管理に関わる他のWebアプリケーションとの連携があげられる。その結果、宅配業者が運ぶ荷物の伝票番号(バーコード)を解錠キーとして利用したり、マンションを訪れる知人のスマホにワンタイムキーを送信するようなことも可能になった。Webとクラウドを融合させたことによって、さまざまなIoT機器との連携もフレキシブルになり、NIDが開発したシステムは、今後顧客が展開するさまざまなサービスの基盤を支える役割も担っている。
なによりも顧客が高く評価したのは、限られた期間で高品質なシステムを成し遂げたNIDの開発力だった。プロジェクトがようやく落ち着いたとき、顧客側から声がかかりプロジェクトメンバーたちも参加した食事会が開催され、お互いの苦労をねぎらった。NIDへの信頼も高まり、現在では新しい開発プロジェクトが複数動き始めている。
もちろん、ビジネス面での貢献ばかりでない。このプロジェクトで得た知見や経験は、NIDの開発力をさらにバージョンアップしていくことになるはずだ。

ずっと走り続けていくような
プロジェクトだった

今回のプロジェクトでマネージャーを任されたのがY.Yだった。これまでいくつもの開発を経験してきた彼にとっても、かつてない困難さを感じたプロジェクトだったという。
「今振り返ってみても、最初から最後までずっと走り続けてきたようなプロジェクトだった思います。Webアプリとクラウドに加え、IoT機器であるコントローラーとの通信など、チャレンジすべきことが数々ありました。また、当時はコロナ禍の最中であり、顧客との打ち合わせも含め、フルリモート体制で開発を進めなければならなかったことも難しさのひとつでした。しかし、それだけにメンバーたちにとっても、NIDにとっても、得られる知見は大きい。どんなことがあっても完遂させるのだという気持ちでプロジェクトをドライブしていきました」。
Y.Yは、プロジェクトを加速させるため、早々にメンバーの増強を会社に打診した。このステップでアサインされたのがK.Mだ。彼はプロジェクトでサブリーダーを担うことになった。
「プロジェクトでは、サーバーレスやIoTなどクラウドシステムでも最新の技術をフルに活用することを要求され、たえず情報を収集しベストな構成を検討しました。一方、顧客とのミーティングでは、Webアプリの画面をモックシステムで確認できるようにするなど、認識のズレを防ぎ迅速に開発が進むように心がけました」。
ITエンジニアとしての
パラダイムシフトを実感

K.Aも、K.Mとほぼ時期を同じくしてプロジェクトに参加した若手エンジニアだ。当時入社4年目だった彼にとって、この開発はまさに転機となる経験だった。
「以前からAWSをはじめクラウド分野には興味があり、上司との面談などで“チャレンジしてみたい”という意思を伝えてきました。今回のアサインも、そうした気持ちが会社に届いた結果だと思います。開発に取り組みながら学ぶことも多く大変でしたが、この体験を次の成長に活かしたいと考え、自分なりに学んだナレッジをまとめておくように工夫しました」。
今回のプロジェクトには、入社早々の新人も加わり、貴重な経験を積むことになった。メンバーで最若手だったY.Mは次のように話す。
「学生時代に情報系の学科を専攻し、プログラミングについてはある程度知識はあったのですが、触れたことのない言語もあって、やはり最初は学ぶことばかり。それでも、フロントエンドの実装とWebアプリケーションのAPI実装の2つを任され、コーディングからテストまで下流工程の経験を積むことができました」。
このY.Mのトレーナー役を務めたのがK.A だった。K.Aは自分のために蓄積したナレッジの共有を図るなど、後輩たちのサポートにも気を配ったという。
次の世代へ、大切なナレッジを
育み共有していく

このプロジェクトで得た知見や経験は、NIDの未来においてどのような役割を果たすのだろうか? 現在もプロジェクトマネージャーを務めるY.Yは次のように語る。
「今回のプロジェクトでは、Webやクラウドといった技術ばかりでなく、プロジェクトの管理や進行などについても私なりにいろいろ得ることができました。現在、このような多様なナレッジを部門全体で共有できる仕組みづくりを進めています」。
こうしたナレッジは、これから入社してくる若いエンジニアたちの成長を支えていく大切な基盤となるはずだ。最後に、3人のメンバーたちに今後の目標を聞いてみた。
「クラウドをはじめエンジニアとしてのスキルをさらに深めていきたいと考えています。現在、AWSの資格取得に向けて社内の研修に参加しています」。(Y.M)
「技術ばかりでなくマネジメントについてもチームを牽引できるような存在になりたい。その意味でも、現在とても大切な経験を積んでいる実感があります」。(K.A)
「今回のプロジェクトでは、他のチームの有識者たちがサポートしてくれてとても心強かった。今後は、AWSやクラウドの領域で私もそのような有識者を目指し、後輩たちの成長を後押しできるような存在になりたいと思っています」。(K.M)